2017年2月にパイロット・カスタム742・フォルカン(FA)ニブを購入して、早くも3年が過ぎ、使用歴は4年目に入った。
実際のところ、毎日使っていたわけではない。
最初はうれしくて毎日使用していたが、「フォルカンニブ独特の特徴」に慣れず、しばらく放り投げていた時期もある。
ここで言う「フォルカンニブ独特の特徴」とは、一般的な万年筆のペン先(ニブ)との硬さの違い・ふわふわとした柔らかさである。
また、筆圧を軽くして文字を書かないと「インクが出にくい」「インクがかすれる」というのも含んでいる。
上記のフォルカンニブの特徴は「製品の不具合ではないか」と商品サイトのユーザーコメントに書かれている場合もあるほどの他の万年筆のペン先には無い独特のものだ。
私自身も、使い出した1年目にはこの特徴の良さが理解できなくて、正直「使えない」と思ったこともある。
そんなときは、セーラー万年筆のプロフィット21のM字ニブを使いながら「やっぱり普通が一番!」と思っていた。
でも、しかし・・・・・このフォルカンニブには、それで終わりにできない魅力がある。それは間違いない。
あえて言うなら、高嶺の花の美しさと小悪魔的な魅力を兼ね備えた美女とでも言うべきか。
もしくは、アイドルのようなルックスの美男でかつツンデレな「恋はつづくよどこまでも」の魔王・佐藤健的な万年筆・・・
要は「取り扱い注意」だが、はまってしまうと離れなれなくなるという感じである。
「なんとかこの万年筆を使いこなしたい」と思うような抗えない魅力を感じさせる万年筆であると思うのだ。
いかに使いこなすか
もちろん以下は私の個人的な見解ではある。
「どう使いこなすのか?」の一つの答えとしては、パイロット社のホームページにも掲載されているフォルカンニブの説明に立ち返って使うことだ。
それには「超ソフト調毛筆の筆跡」とある。
そう、使う側の心構えとしてフォルカンを万年筆と思わずに、「毛筆」もしくは「筆ペン」と思って使うこと。
そう思って、軽い筆圧でやさしいタッチに文字を書くと、これほど柔らかく書きやすいペン先な無いと体験できる。
個人差は出るかと思うが、書き味がこんなに気持ちいい万年筆は初めてだと思うはずだ。
さらに、「毛筆」もしくは「筆ペン」だと思って優しく使うと、欠点とか使いにくい点の代表として言われる「インクが出ない」ことがほとんど発生しない。
「インクが出ない」ことが発生しても、毛筆の先を硯につけて墨を補充するように一息いれると、またすなおにペン先からインクが溢れだしてくるから不思議だ。
私自身はこのように思ってフォルカンを使うときに、ペン先が本当に「毛筆」のように見えることがある。
年賀状や手紙などをフォルカンで書くときは、姿勢を正して、ゆっくり落ち着いて書けば、本当に毛筆で書いているように感覚に襲われるはずだ。
すばやくメモをしないといけない場面も、戦国武将が巻紙に毛筆でさらさら手紙を書いているイメージで使う。
そうすると他のペン先では書けない独特の文字が書ける。他人に読めない字になるかもしれないがそれも面白いと思う。
横書きには向かないように思うかもしれないが、そんなことはない。かえって日本語がローマ字の筆記体のように見えて味が出る。
フォルカンに使用するインクだが、正直に言うと、当然かも知れないが、パイロット社のカートリッジインクを使うのが望ましい。
これが一番「インクが出ない」という症状が発生しにくい。
コンバーターを使う場合も、やはりパイロット社製のインクがおススメだ。
セーラー製やペリカン製、モンブラン製のインクもコンバーターで試したが、私の経験では、「インクが出ない」症状の発生確率がパイロット社製より高いように思える。
高嶺の花の美女が言う「良いワインしか飲まないの」とか『恋つづ』の魔王が「クリームパンばかり食う」のと同じと思って、カートリッジインクで使ってみよう。
それでもフォルカンをおススメしたい
使用して4年目の私はフォルカンには他の万年筆にはない魅力があると本当に思っている。
古い言い方だが、「美女を御する」「荒武者を使いこなす」ような楽しみが本当にある。
フォルカンを御すことができれば、誰でも、その人なりの他の万年筆のペン先では書けない素敵な文字が書けるのは間違いない。
私自身は他人に自慢できるような美文字は書けないが、それでも、フォルカンで書いた自分の文字が一番美しいと断言できる。
万年筆で書くことの魅力を大いに引き立ててくれるフォルカンを本当におススメしたい。
ただし、所謂カリグラフィーのような文字を簡単に書けることは無い。
また、柔らかいペン先(ニブ)の万年筆を手に入れて、すぐにさらさらと使いたいという人にはフォルカンはおススメしない。
それならば、パイロット社のカスタムシリーズのソフトエム(SM)のニブ等のほうが、余程万人が使いやすいからだ。
あえて言うなら、フォルカンには「使いこなすための過程」を楽しめる余裕が必要なのだ。
たとえば、出来上がった家具を買うのではなく、組み立て式の家具を買って自分で作り上げるような過程を楽しみたい人に最適なのだ。
また、フォルカンニブの購入にあたって、カスタム742か743かヘリテイジかで迷うと思うが、個人的にはカスタム742をおススメする。
その理由は、店頭での比較では、それほどの差が無かったことと、私自身が4年目を迎えたカスタム742・フォルカンに大満足しているからだ。
いかがでしたか?
以上、「4年目のパイロット・フォルカン(FAニブ)」の記事でした。
よければぜひご参考になさってください。
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